連作ワイン劇場「ワイン長屋の人々」第1話:おとっつァんと冬のリヴィエラ

ルイロデレールコレクション242

ルイ・ロデレール・コレクション242

 

「おとっつァん、おかゆができたわよ」

「おお、いつもすまねえなあ」

「おとっつァん、すまんが口癖になってるわよ」

「しかしなあ、すまねえと思ってるんだよ。定年と同時に腰を悪くして働けなくなって・・・焦って退職金を株に注ぎ込むなんてエ真似をしたあげくのこんな長屋の貧乏暮らし。こんな真似をしなけりゃ贅沢は出来ねえが普通の暮らしは出来たものを。しかも慌てて売っちまった後で直ぐに相場が戻るなんて。つくづく情けねエ」

「おとっつァん、それは言わない約束じゃない。みんなコロナが悪いのよ。おっかさんだってグチ一つ言わないじゃい」

「それにこいつよ。若い(わけえ)頃の道楽がやめらんなくて・・・こんな狭エ長屋にこんなでけえワインセラーなんか・・・

「おとっつァん、それも言わない約束じゃない」

「いや、おとっつァん覚悟を決めた。中のワインとワインセラーを全部売っちまって・・・」

「ばかっ!」

ビシィー

「てめえ、なにしやがる。親に手エあげるたあどういう了見だ」

「ばかばか。おとっつァんのばか」

「・・・」

「おとっつァん、いつも言ってたじゃない、俺は遠峰一青より偉えワイン評論家になるんだ(注1)毎日(まいんち)ワイン飲んでんのは伊達じゃねえぞ。1本1本が修行なんだって」

「でもなあ還暦過ぎても、ワインエキスパートにも擦りもしねえおとっつァんだ。遠峰の野郎の背中も見えやしねえ」

「ばかばか」

ビシィー

「痛えなあもういちいち叩くなや」

「おとっつァん、いつも言ってるじゃない。俺は100まで生きるんだ。60、70なんてな若造だって。まだ30年以上あるのよ。なんだってできるじゃない」

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

「そうだな、お房、おめえの言う通りだ。おとっつァんが間違ってた。20年や30年ワインエキスパート落ちたからって自棄になっちゃあいけねえってこった。しかし娘に教えられるたあ、おとっつァんもヤキが回ったな」

「わかってくれればいいのよ」

ビシィー

「いてえなあ。あのすいませんここ叩くとこですか?」

「すまねえなあ」

「こいつあ一本取られた、娘に口癖真似されちまった。なんか愉快だなおい、ワインでも開けるか」

「おっかさん、おとっつァんワインだってよ」

「よし、今日はおとっつァんの再出発の門出だ。おっかあ!スパークリング持って来つくんな」

「分かりました。カヴァでよろしゅうございますか?」

「なにをトンチキなことを言ってやがんのかね、しょうがねえ。晴れの日にはシャンパーニュよ。それと何度も言ってるがカヴァじゃなくてカバだ。お前(めえ)の発音はどうしてもカヴァに聞こえる」

「至りませんで申し訳ございません。ルイ・ロデレールですね。クリスタルのロゼ・・・あ、違いますか」

「お前(めえ)んちの実家じゃあるまいし10万超えるワインをそうそうポンポン開けられるかってんだ。コレクションの242があったろう。そいつを持ってきつくんな」

 

 

ルイロデレールコレクション242ボトル・ボックス

ルイロデレールコレクション242ボトル

ルイロデレールコレクション242エチケット

 

 

「お房、抜栓してサーブしつくんな」

「おとっつァん肴はどうすんの?」

「おめえの作っつくれたおかゆがあるじゃねえか」

 

ルイロデレールコレクション242グラス

ルイロデレールコレクション242ディスク

 

 

おとっつァんは思った。

む・・・・・うめえ。

こいつあ並のシャンパーニュじゃねえ。

8,000円越えなんてえ、おあしでも不思議はねえ。

 

こいつあ

こいつあ

コードネーム冬のリヴィエラだ!(注2)

 

【2021年12月25日公開 8200円台 消費税10%】

 

 

(注1)遠峰一青・・・ワイン飲んだだけで時空を超えてどこへでも飛んで行く、イっちゃってる漫画のイっちゃってる登場人物の一人です。

こんな顔 ⇓

神の雫
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(注2)何を言いたいんだかちっともわかりませんね、筆者(顧問)もよくわかりません、ワハハ。フィクションてなこんなもんです。キャラクターが走り出したら止める術(わざ)なんかありゃしません。高名なスパイ小説と高名な演歌の名曲が出典みたいですが・・・ワインのせいでいつも意識が混濁してるおとっつァんの言うことです。気にしないでやってください。

リヴィエラを撃て
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冬のリヴィエラ
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ルイ・ロデレール コレクション 242
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第2話へ続く

 

 

 

シャンパーニュなんかこわくない2

ルイロデレールコレクション242

 

ルイ・ロデレール・コレクション242

 

アッサンブラージュは、シャルドネ42% ピノ・ノワール36%  ピノ・ムニエ22%

 

さらにこのコレクションのシリーズは、核となる2017年のワイン90%とリザーブワイン10%のブレンドでできているそう。

リザーブワインのヴィンテージは

2009、2011、2013、2014、2015、2016

だそうです。まあ手間がかかってますね。

 

 

ルイロデレールコレクション242ボトル・ボックス

ルイロデレールコレクション242ボトル

ルイロデレールコレクション242エチケット

 

 

テイスティングコメント行きます。

 

ルイロデレールコレクション242グラス

ルイロデレールコレクション242ディスク

 

デイスクはやや黄金色に近いレモンイエロー。細かい泡立ち。白桃やアカシア辺りの白い花の香。シルキーな口当たりソフトな酸味。トーストを思わせるパンのニュアンス。余韻は長く、ほのかな甘みは特にアフターで感じ取れる。

 

美味しいシャンパーニュでした。

 

ところで

当ブログ、随分雰囲気が変わりましたでしょう?

 

ここからブログ更新再開のお知らせとなります。

1年間以上更新をサボってたのは他でもない、妻を病で亡くしたためです。2020年の11月に肺がんが分かりそれから8ヶ月の命でした。

入院中は心配で心配で。亡くなってから哀しくて苦しくて。ブログ更新するどころじゃありませんでした。

私は自分のブログをよく再読するのですが、再読も苦しくて、旅行記なんかは特に苦しくてどうしようもなく・・・もうブログを閉鎖しようかな、と本気で考えてました。

ただ妻はSNSとか全くやらない人だったので自分から発信とかってほとんどしなかったんですよ。残されたのは写真とビデオだけ。

このブログは妻が元気だった頃 = 妻と娘と私が幸せだった頃の数少ない記録の一つになりうるな、と考え直しブログ閉鎖は思いとどまりました。(よく見ると旅行記の挿入動画に妻と娘の後ろ姿が写っていたりします)

 

以上、長く更新しなかったお詫びと更新再開のご挨拶に変えさせていただきます。

 

これからもよろしくお願いいたします。

 

 

【2021年12月18日公開 消費税10%】

 

ルイ・ロデレール コレクション 242
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シャンパーニュなんかこわくない

ポメリーブリュットロワイヤルNV

 

ポメリーブリュットロワイヤルNV

 

 

 

 

 

む・・・・・・・・・うまい

 

 

 

 

 

なんてね。時代小説の主人公みたいなセリフ一発決めて終わるとか一度やってみてもいいかもね。

そもそも食いものの美味い不味いなんかをクドクド語るなぞ日本男子の風上にも置けないチェストー。とか言われそう。

 

そうじゃなくとも【ワイン=オシャレ】なんて歪んだイメージがついて回ってるのに!

シャンパーニュと来た日にゃ言ってみりゃオシャレの猛者でしょ。

 

フロートグラスに注ぐと綺麗な泡だち。微かに檸檬色が漂う透明な色。<幸せ>の象徴と呼ばれる泡が立ち上ってくる姿の美しさ。<天使の拍手>とも評されるはぜる音。逆に際立つ静寂。豊かな香りを感じながら静かに口に含めば広がる、果実味、酸味。豊かな余韻。(注1)

 

うーん。オシャレ猛者

 

「こんなものを飲むとは貴様それでも日本男児か!チェストー」

 

すんませーん

 

ポメリーブリュットロワイヤルNVボトル

 

 

 

 

 

 

 

 

ポメリーブリュットロワイヤルNVエチケット

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地図行きます。

 

シャンパーニュ地方はパリから北東約140km。都市名で言えばランスのあたり。ちなみにポメリー社はランスで1836年に誕生したそうな。

 

テイスティングコメント行きましょうか。

アッサンブラージュはシャルドネ34%、ピノ・ノワール33%、ピノ・ムニエ33%

 

ポメリーブリュットロワイヤルNVグラス

 

 

 

 

 

 

 

ポメリーブリュットロワイヤルNVディスク

 

 

 

 

 

 

 

 

細(こまけ)エ粒の泡立ち、色は透明感のあるレモンイエロー。メロン、レモン、チョコレート辺りの力強(づえ)エ香り。味わいは果実味、フレッシュな酸味、どっちも大ありで。少(すこう)しの丸い苦味も。アルコール感は十分(たんまり)。旨(うめ)エ葡萄酒でござんす。旨(うめ)エんですが・・・・・。

 

・・・・・シャンパーニュですからね。まあ美味しくて当然でしょう・・・・・でも1000円〜1300円位のカバと比べて3倍うまいかというとそれはちょっと・・・・実を言いますとね・・・・スパークリングワインの美味い不味いってよくわからない。わはは。・・・・スティルワインみたいにわりと露骨に価格で味が上下しませんね・・・・・・・・・・・・・・・3200円代(注2)という価格がその価格相当の価値があるのかないのか?

 

 

 

む・・・・・・・・・

 

 

 

結論出さないでごまかしちゃお

 

 

 

む・・・・・・・・・

 

 

 

この「む・・・・・・・・・」って何も考えてないのに考えてるふうに見えますね。便利だこりゃ。

 

 

 

 

(注1)ここの文章表現、柄にもなくガンバりました。頑張りすぎてくしゃみが止まらなくなりました。ヘ-ックショイ!幸せの象徴だの天使の拍手だの、何言ってやがんのかね本当(ントウ)に。

(注2)これだって破格値ですけどね。ネット酒屋さんはたまにこういうの出してきますね。底力見る思いです。

【2019年9月21日公開 消費税8%】

 

 

 

 

 

 

 

ラッキーイヤーの幕開けなんかこわくない

ルイ・ロデレール ・クリスタル・ロゼ2009ボトル

今年の福袋の話をします。

福袋ですから、何円台とかははっきり分からない訳で、カテゴリーどうすっかなとは悩みました。

出した結論はカテゴリー「福袋」いつものようにあまり考えてません。

ワインの福袋はその他の福袋と同じで安くてコストパフォーマンス抜群がウリでして、経済的に恵まれないサラリーマンであるところの顧問もこの時ばかりは頑張っちゃう訳なのね。

2本で3万円なんて身分不相応な福袋買っちゃう訳です。

ことの始まりは2017年の大晦日。2018年、年明けと同時に始まるネット酒屋さんの福袋をその瞬間寝ちゃって買いそびれてしまったというお粗末。^_^ ^_^

30秒後にハッと目覚めたが、当然完売。ブルゴーニュ3万円コースもイタリアワイン3万円コースも完売。またやらかしてしもうた。慌ててまだ残っていたボルドー右岸1万円コースだけポチったけど。

・・・この不完全燃焼の気持ちをどこにぶつければ。

そこで初めて実店舗の福袋にチャレンジすることにしました。

半ばヤケ気味だったので2本で3万円てのに手を出してしまいました。結局ワイン福袋で4万使ってしまい、結果1月2月はそれ以外のワインが買えないということに相成りましたしくしく。

どういうことかと言うと、購入上限月1万円を愛する妻に約束してまして、11月12月は購入を我慢してました。さらにこんな贅沢しちゃったから1月2月も買えないということになったのでしたしくしく。

この月1万円というのは禁煙に成功したご褒美に月にここまでは買っていいと妻からお許しの出た金額です。こんち1日1箱吸ってたら1万円じゃ済まないだろうけどねぶつぶつ。

とあるデパートのとあるワイン屋さんで1番乗りで買って(別に早く買ったからっていいのが買える訳じゃないけど、験担ぎのつもりで)帰って包装開けました。

 

キスラー・ソノマ・コースト・ レ・ノワゼッティエール・ シャルドネ2015&ルイ・ロデレール ・クリスタル・ロゼ2009

 

 

 

 

 

 

 

これはもしかするとSNSワイン系サークルでごくたまに目にするクリスタルのロゼってやつで内科医?なんかみんな自慢そうにアップしてたから多分高いシャンパーニュなんだろうな(注1)

買ったワイン屋さんが通販サイトもやっているのでそこで価格調査。先ず白ワインから。

キスラー・ソノマ・コースト・ レ・ノワゼッティエール ・シャルドネ2015ボトルキスラー・ソノマ・コースト・ レ・ノワゼッティエール ・シャルドネ2015エチケット

 

 

 

 

 

 

 

 

キスラー・ソノマ・コースト・ レ・ノワゼッティエール・ シャルドネ2015

¥1,3000ね。ふうん。2本3万円の相方にしちゃもの足りない値段だね。

【ノワゼッティエール】はフランス語で【ヘーゼルナッツ】の意味ということだそうで、カリフォルニアのソノマのワインなんだから英語で書きゃいいだろうにLes Noisetiersなんてフランスコンプレックスというかブルゴーニュコンプレックス丸出しのワイン名にしてアメリカ人としての矜持はないんかっ?キスラーさん?

と思ったがネットで色々調べると「俺はブルゴーニュのシャルドネのようなのを作りたいんだおお」と言ってるらしい。

うむ、逆に気持ちいいぐらいのブルゴーニュかぶれ。嫌いじゃない。(注2)

 

次にもう片方の相方のクリスタルとかいうやつの価格調査。

ルイ・ロデレール ・クリスタル・ロゼ2009ボトルルイ・ロデレール ・クリスタル・ロゼ2009エチケット

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイ・ロデレール ・クリスタル・ロゼ2009

あに?あんだって?

¥70,000 だあ?

するってえと、あたしゃ3万円で8万3千円相当を買ったってことかい?

 

・・・・気絶・・・・

 

いかんいかん写真撮らなきゃ、SNS載せて自慢しなきゃ。

Facebook、Twitter、mixi、全部に投稿。Facebookなんて117イイネ!もらったりして有頂天。

 

それでもって話はここで終わらない。

 

ここまでが正月3日までの話。4日に買った同じ店に行って「クリスタルのロゼが入っていてビックリした」と、店員さんと雑談してたら、「それはおめでとうございます、でしたら箱差し上げましょうか?」
「!!!」と、いう訳で箱までもらってしまいました。

ルイ・ロデレール ・クリスタル・ロゼ2009ボックス1ルイ・ロデレール ・クリスタル・ロゼ2009ボックス2

 

 

 

 

 

 

 

福袋なんだから正規品みたいに箱は仕方ないよなー、と思っていたところにビッグプレゼント

・・・・悶絶・・・・

いかんいかん写真撮らなきゃ、SNS載せて自慢しなきゃ。

これまた80イイネもらったり

「嬉しいんだが、なにかこの4日間で今年の運を使い果たしたような不安を感じる。」てなコメントしたら、

「ハッピーイヤーの幕開けですょ」と言ってくれるSNS友人もいたりして。幸せな1月でした。

ただひとつだけ問題なのは・・・・・・・

 

こんなの引き当てちゃっていつ飲むんだ?

 

 

 

(注1)どんだけ無知なんだか。なにせカバ党なのでシャンパーニュなんて全然分からない。

(注2)同類の匂いがする。

(全体の注)今回は価格カテゴリーで分けなかったので、話を分かりやすくするため税抜価格で表示しました。

【2018年2月4日公開】