ワイパラ・ヴァレーなんかこわくない

 

シャーウッドストラタムピノノワール2017

 

ストラタム・ピノ ・ノワール・シャーウッド・ エステート2017

 

セントラル・オタゴ(注1)高騰のあおりを受けてマールボロ(注2)のワインまで微妙に高くなりつつあるニュージーランド産。あえて買おうとは思わないのが昨今のワインマニア(の一部)

 

ところがひょんなことから頂ける機会に恵まれまして。

※ちいと前(まい)の噺でございます。

 

定年お祝い会!

 

シャーウッドストラタムピノノワール2017花束
この時にいただいた花束

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、私(アタクシ)ってなんだか若ぶってますが、実は還暦でございまして。

ちょいと調べさしてもらいますてえと、

【還暦は数え年で61歳、満年齢60歳でお祝いする】てなことで11月生まれの私(アタクシ)は実に今が還暦。年明けには数え年で62歳になってしまうので、還暦はこの瞬間だけでございますね。

 

私(アタクシ)のワイン好きは皆さんご存知。

今の部署と前の部署の皆さんが赤いチャンチャンコならぬ赤いワインを贈っていただいたって次第。

皆さんは普通に飲み放題のコースの御酒(ごしゅ)で飲(や)ってる中、お祝いの記念品としてフルボトル一本独占さして頂けるなんてエ粋な計らいでございます。

と、言いますか皆さんワインに興味も関心もなく1本独占しようがどうしようが「どうぞどうぞ」てなもん。飲み放題の色々な御酒(ごしゅ)の方が「よっぽどありがてえ」て雰囲気でした。一般的にはワインて御酒(ごしゅ)は人気ないんだなと改めて思い知った次第です。

「おうっ!飲(やっ)つくんな」

てな感じでトンと置いてくれたのがこのワイン。

 

シャーウッドストラタムピノノワール2017エチケット

 

 

 

 

 

 

 

 

な訳ありませんですな。先ずはワインリスト見さして頂きました。

イタリアン(トラットリア)ですがイタリアワインの他にもフランス、アメリカ、チリあたりのワインが多いのが特徴でございました。

中でニュージーランドのピノ・ノワールがあったのでワインリストの番号差しながら

「こんつわ。少々お尋ねしますよ。」

「はいお伺いいたします」

「このニュージーランドのワインの産地どこでゲスか?」

「少々お待ち下さい」

 

仮に店が全く利益乗せしなかったとしてもこの値段じゃセントラル・オタゴのピノ・ノワールの筈がない。マールボロ辺り?と、辺りをつけて待っていますてえと、

 

「お待たせしましたマールボロのワインです」

「マールボロのピノ・ノワールね。結構ざんすね。そいつをお願いします。ただなんでゲスな。随分時間かかりましたな。まさか今、ネットで調べてた、とか?」

「・・・いえ。シェフがちょっと手が離せなくて・・・聞いたら直ぐ分かったんですが」

なんだこの客?リストランテじゃあるまいし、見りゃわかるでしょトラットリアですよ、此処は。ワイン産地とかこだわってんじゃないわよ的な女給さんの暗い笑顔。

少々待たされましてワインとグラスをお持ちになり、最初の一杯をサーブしてくださいました。

 

シャーウッドストラタムピノノワール2017グラス

 

 

 

 

 

 

 

 

「おんや、客の目の前で抜栓しない?変わったやり方でゲスな」

「テイスティングとかしないんですな、流石、絶対の自信をお持ちと推察させていただきますよ。オーホホホホホホッ!」

「ボルドーグラスざんすか?ピノ・ノワールのワインを結構オンリストされてるんですからブルゴーニュグラス御用意いただいてもよろしゅうござんせんか?」

「また珍ですなあ!そんなにナミナミとおつぎになる、ビールか何かと勘違いなさってで?」

 

「・・・・・・・・・・・すみません」

 

なんだこの客?◯◯してやろうかしら的な女給さんの暗い笑顔。

 

暗転

 

古典落語でよく出てくる嫌みな若旦那風の味、ご賞味いただけましたでしょうか?(注3)

ワインマニアてのはこんな連中ばかりですよまことにどうにもしょうがない。なんて冗談ですよ。フィクションですよ。リアルな(アタクシ)はこんなことは言(ゆ)いませんよ。いや全く言(ゆ)ってないかと言(ゆ)うと言(ゆ)う方は違えど全部言(ゆ)ってたかなあだからワイン兇徒とか呼ばれるんだなあ違うなワインマニア全部に汚名着せちゃいかんいかん嫌みは俺だけだ反省反省。

 

地図行きます

実はマールボロじゃなくてワイパラでございましたな。ストラタムというワインはヴィンテージによってマールボロ産だったりワイパラ産だったりしてるみたいですな。で、この2017年ヴィンテージはエチケットにそう記してあるのでワイパラ産ということなんでしょう。

 

テイスティングの感想でございます。

シャーウッドストラタムピノノワール2017ディスク

 

 

 

 

 

 

 

やや赤みが勝るルビー色。粘性は中程度。カシスやプラムの香り。甘さはほぼなくフレッシュな酸味。アフターに若干の苦み。白ワインでよく見る甘みすれすれの苦みとよく似たニュアンス。甘さがほぼないピノ・ノワールにこれがあっても違和感ないものなんだな。軽いアルコール感と相まっていい出来ですね。うみゃいです。

と、言うわけで県内某所における久しぶりのニュージーランドワインの飲み記録でございました。(注4)

 

 

(注1)セントラル・オタゴ ⇓ この辺です

 

 

 

(注2)マールボロ ⇓ この辺です

 

 

(注3)

《羽織の遊び》とか《酢豆腐》なんかに出てくる伊勢屋の若旦那ですな。

 

(注4)

嫌みな客とそれへの対応に苦慮するイタリアンという構図の話でウケを狙いました。ただ、世の中には無用に深読み(もしくは曲解)する方がいらっしゃるので、この記事を店の対応を非難している風に取られる危険があるやもしれない。

と思いまして、念のため店名は伏せさせていただきました。ご了承ください。

【2019年12月8日公開】

 

ストラタム・ピノ ・ノワール・シャーウッド・ エステート
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